和包丁(片刃)のこだわり-刃の構造-_Nenohi Record Vol_2

包丁のカテゴリを大きく分けると「和包丁」と「洋包丁」に分けられます。
一般的には和包丁といえば「片刃+和式ハンドル」がセオリーですが、近年では食材や食文化の多様化により、「両刃+和式ハンドル」などのハイブリッドと言える包丁も増えているため、明確な分類はなくなってきているように感じます。

ここでは、「和包丁=片刃+和式ハンドル」と定義して、和包丁の基本的な情報から、子の日がこだわっている部分までお届けします。

和包丁の基本的な知識として、片刃の構造について解説していきます。
下記の図解をご覧ください。

片刃の構造の大きな特徴として、「裏スキ」と「しのぎ」の2点が挙げられます。

裏スキがあることで、図の様に切断の際に食材との接触面が極めて少なく(摩擦が極めて少なく)、包丁が動かしやすくなります
包丁が抵抗なく動くということは、イコール「切れる」と言えるほど、重要なファクターです。
また、接触面が極めて少ない事は、食材の断面が潰れず、美しい切断面になります。和包丁にとって非常に重要な構造と言えます。

「平」の部分も、裏面同様に凹みを作ることによって、包丁の強度を落とさずに包丁全体の重量を減らすことができます。
特に切先(包丁の先端)付近は軽量化の効果が大きく、切先の軽い包丁は軽く握る事ができ、疲れず、思い通りに包丁を動かすことが可能です。
また、均一な平の凹みがあることで、砥石で研ぐ際に誰でも美しいシノギラインを維持することができます。

日本料理、寿司職人にとって食材を「切る」という行為自体が、料理の味へ大きく影響します。よって、和包丁は複雑で難易度の高い作りを求められるのです。

子の日では上記で挙げた「片刃」のメリットを最大に活かすべく、「精密成型」を製作工程に導入しております。
次回は、この「精密成型」にフォーカスして解説していきたいと思います。