楓二層 相出刃

[各鋼材の性能を最大限に引き出す熱処理]

長年の研究によって世界中の鋼材メーカーから厳選した鋼材を、どのような熱処理をすれば理想の包丁性能に近づけることができるか、綿密な研究を行っています。
一般的なセオリーを超えた独自の熱処理レシピでは、温度を何℃まで「どのように」上げるか、温度を何℃まで「どのように」下げるかを精密に計算しています。包丁1本1本に均等に温度制御を行う特別な焼入れや、「クライオ処理(超々サブゼロ)」と呼ばれる-196℃への急冷といった先進的な熱処理技術を駆使し、各グレードで最高の包丁性能を実現しています。

[精密成形のこだわり]

子の日の和包丁には、本社工場のエースランクの職人のみが施すことができる「精密成形」を採用しています。一般的にユーザーでは修正することが困難な「平/裏面のゆがみ、凹凸」を製作段階でほぼ完全に排除することで、理想的な和包丁形状を実現しています。（これによりユーザーが研ぐほどにシノギライン/裏面の形が崩れていくという問題を防ぎます。）また「アゴ/ミネ」といった使用時に手に触れる部分も同様の精密研磨に加え、丸く磨き上げることで、ストレスのない握り心地と使い心地を実現しております。
「超精密」とも言える子の日の精密成形は、和包丁の神髄である実用性を可能にし、極限まで機能性を追求したこの精密な形状が、包丁の美しさをさらに引き立てます。

[柄の選定と柄付けのこだわり]

子の日は和包丁に「八角柄」を採用しています。包丁を持ち直すたびに毎回同じ角度で握ることができ、その高い再現性により、長く使い続けることでシビアな包丁さばきが可能になります。柄の設計も自社で行い、仕上がった柄すべてを厳密に検品し、優れた品質のものだけを厳選しています。「柄付け」の作業では、包丁が手元バランスになること（先が軽くなる）、包丁を真っすぐに取り付けることを重視しています。
包丁と柄の隙間には「同材（朴なら朴材、黒檀なら黒檀材）」を削って打ち込むことで、柄の接合部まで美しく、長期間使用しても隙間が広がりません。さらに、目に見えない微細な隙間にも熱したロウを浸透させることで水の侵入による包丁のサビを防止し、柄の寿命も延長します。良質な包丁を長くご愛用いただくための職人の技です。